機材、グルメ、そして絶景。この世の全てを手に入れた男、自転車王ゴールド・ロディー。彼の死に際に放った一言は人々を山へ駆り立てた。「絶景か? 欲しけりゃくれてやる。登れ! この世の全てをそこに置いてきた」ローディーたちはまだ見ぬ絶景を目指し、夢を追いつづける。世はまさに大自転車時代!
ありったけのゆーめを~かき集め~
捜し物をさーがしーにゆーくーのーさ~
ONE PIE(ry
日を追うごとに段々と最高気温が下がってくる9月下旬。夕方に白目を剥きながら(眠いだけ)電車に揺られていたANJのもとに、一通のメッセージが届きました。
「天気も良いし紅葉も見ごろなので乗鞍まで行こうかと!あと、車も借りたのでトランポです」
「ぜひ行きましょう。僕もそろそろTLに絶景テロが必要だと思ってたんです」
と、まさかのローディ―の聖地である乗鞍行きが決定。
今年中に行けるとは思っていなかったのでテンションMaxですが、今日は木曜日。金曜の夜に出発するので、準備に充てられる時間はなんと一日のみ。急いで防寒具などを棚から引っ張り出しました。
出発〜 pic.twitter.com/S6iBUutVoZ
— ANJ@海洋深層水 (@ANJ00AMX) September 29, 2017
金曜の午後10時に多摩湖近くのコンビニでみゅーおんさんと合流。
車の後部座席に自転車を積み込んで、乗鞍へと出発しました。
午後10半時頃、青梅を経由して奥多摩湖へと向かいます。
奥多摩湖からは柳沢峠を抜けて甲府へ降り、その後はひたすら国道20号線に沿って乗鞍観光センターを目指すルート。ちなみに高速は高いので乗りません。総距離は大体230kmほど。
奥多摩湖への道中、何個もあるトンネルを抜けていきます。
真っ暗な奥多摩湖畔を通り、今度は心霊スポットとしても有名な柳沢峠へと入っていきます。
ここまでもずっと車内で雑談をしていたのですが、いつの間にか話題は現在通過中の柳沢峠へ。
「そういえば自分、柳沢峠にあるキノコ売り場のところめっちゃ嫌いなんですよ」
「さっき通った所ですか?確かに色々捨てられていましたし、雰囲気がちょっと異様でしたよね。夜だとさすがに怖いです」
「いや、昼間に通ってもなんかあそこらへん気持ち悪いんですよ。変な音楽なってますし…」
「みゅーおんさんって心霊系ダメな人ですか?だったらブルべの時の夜の峠越えとかかなりヤバいんじゃ…..」
「いえ、たしかに夜の峠は心霊的に怖いですけど、それよりも動物の方が怖いです。ダウンヒル中の鹿とか」
なんと柳沢峠を越えて甲府側に下っている最中に、2頭の鹿と遭遇。
カーブの出口にひょこっと立っていましたwwwww
それとNさん!どうやらみゅーおんさんは柳沢峠のキノコ売り場あたりが弱点らしいので、アタックするならそこですよ!(小声)
交通量が少なく、ほぼ高速道路状態の国道20号線。
いちど「道の駅はくしゅう」でトイレ休憩兼、星景撮影をすることに。
すでにクソ寒い中、震えながらシャッターを切っていきますが、運悪く雲がかかってしまっていました。
その後、映画「君の名は。」の糸守湖のモデルになったとも言われる諏訪湖の横をかすめて、いよいよ野麦街道へと入ります。ここをずっと登り標高1700mまで行くと、今回のライドの出発地点である「乗鞍観光センター」に到着します。
面白いのはこの入山トンネル。
観光センターまでにはいくつもトンネルがありますが、ここだけはなんとトンネル内で分岐しています。
もし自転車でここを通ろうものならば、ただでさえ狭く暗いトンネル内で後続車のタイミングを見計らい、「えいやっ」と分岐点で右へ行かなければなりません。
分岐点はこんな感じ。秘湯・白骨温泉もこちら側です。
と、なんとか無事に乗鞍観光センターの駐車場へ到着。
時刻は午前3時前。ここから3時間ほど仮眠して明日のヒルクライムに備えますが、その前に先ほど失敗した星景写真を撮ることに。
流石は長野・乗鞍高原。まだ暗闇に目が慣れきっていない肉眼でもたくさんの星々が確認できました。
しかし、観光センターの駐車場は割と頻繁に他の観光客の車が来るので、タイミングが悪いとライトで写真がおじゃんになることも(泣)
こちらは少しアップで撮影した一枚。
少し見にくいですが、中央上よりに写っているのが「すばる星団」。昔はすばる星団の星の数を肉眼で何個数えられるかという方法で、視力検査を行っていたというエピソードもある有名な星団。
その真下、写真中央にある星団が「ヒアデス星団」。その中でもひときわ大きい星は「アルデバラン」というそう。
また、さらにその下には見切れている「オリオン座」が(笑)
写真中央下側ギリギリには、詳しくない人でも一度は聞いたことのある「ペテルギウス」も。
こちらは引いて撮った一枚。
こっちの方はオリオン座が綺麗に収まってくれています。
その後仮眠して早朝6時。
本当は6時半まで寝ているつもりでしたが、車内でもクソ寒くて起きてしまいました。
まあこれから憧れの乗鞍に登るので、わくわくしすぎて眠れないという一因もあったのですが。
駐車場わきにあるトイレからの帰り道に空を見上げると、特徴的な形の雲が。
綺麗ですが、洗って濡れた手を冷たい風が吹きつけて、なんの比喩でもなくガチで凍死しそうなので猛ダッシュで車へと飛びこみます。
「松本市内が5度とか6度ですから…..ここはさらに1000mくらい上なので大体0℃切ってますよwwwwww」
震える手で夜に買っておいた朝ごはんを開封。
あまりお腹は空いていませんが、おにぎり数個をとりあえず胃の中へとぶち込みます。
みゅーおんさんに言われて乗鞍岳の方を見ると、朝日に照らされた山肌が見事に赤く染まっていました。
と、ここで先にルート説明。スタートは乗鞍観光センターで、ゴールは標高約2700mにある乗鞍岳畳平。
スペック的には都民の森とあまり変わらないイメージですが、みんもりのようなアップダウンはなく基本的にひたすら登り。平均斜度6.4%、距離19.7km、獲得標高は1464mです。
まだ10月前ですが、装備は完全に真冬用。
ちらほらと準備に取り掛かっているローディーの姿も増えてきた中、いよいよ1400m上の畳平に向けて出発です!
「って待って待って!なんかめっちゃキツイ!登り始めて数分で心拍が170なんですけど!」
実は観光センターを出るとすぐに本格的なヒルクライムが始まるので、早朝+仮眠3時間+アップ無しというトリプル役満で登った結果、すでに心拍はクライマックス状態。斜度的にはきつくないのに、体はめちゃくちゃキツイという不思議な感覚です。
アップってすごく大切なんだなぁ。あんじぇ。
ただ乗鞍の良いところは、マイカー規制されているところ。同じくローディーの三大聖地として数えられる渋峠は国道でありマイカー規制が無いため、紅葉の時期になると観光客の車であふれかえって渋滞地獄になるのだとか。
自分としては渋峠も是非行きたい憧れの土地ではありますが、渋滞がひどくない時を狙いたいところ。
このように、乗鞍も最初は完全に山の中。
Twitterでよく見かける森林限界以降の絶景区間は、途中にある山荘以降のラスト3kmほど。
それまではひたすら登れ登れ大会です。
ただそれだけではつまらないので、みゅーおんさんを後ろから激写して勝手にRaphaっぽくしたりして遊びます。
が、ここで問題が発生。
実はみゅーおんさんから「畳平行ったら、剣ヶ峰(畳平からさらに300m上に位置する乗鞍岳山頂)まで行かないともったいないDEATHよ!」と言われていた自分は、登山用にランニングシューズを持参(靴がSPD-SLのため。みゅーおんさんはSPDのためそのままでOK)。
しかしサドルバッグには入らないので、今回だけリュックを背負っていくことに。
すると、リュックを背負うことに慣れていない体でのヒルクライムはかなり負担が大きかったらしく、10kmも登らないうちに腰が痛くなるという事態に。
どうにかダンシングを細かく混ぜて登ることで誤魔化しつつ登っていきますが、どうしても痛いときは一度リュックを下ろして小休憩をとって頂くことに。
しばらく腰に意識が行きがちでしたが、周りの紅葉も段々とありえん良さみが深くなってきました。
徐々に木々の高さというか、密度も低くなっていきます。
途中に何本かある橋のところでは、きれいな滝が流れています。
周囲の紅葉もよい感じで、これだけでも来た甲斐があったというもの。
が、ここで乗鞍エコーラインの中でも特にワインディングが連続する区間に突入。
ここを乗り切れば位ヶ原山荘ですが、何度も現れるワインディングが意外とツラいので、少しでも大外を走って登っていきます。
そんなこんなで、中間地点である位ヶ原山荘に到着。
綺麗な黄色に色づいています。ここにはトイレもあるので、いったん休憩しておくのが良いかと。
ただし、ここはすでに標高2350m。止まると本当にあっという間に冷えていくので長居は無用。トイレだけ済ましてすぐに自転車にまたがります。
↓ 遠くの山肌に見えるのがエコーライン最終区間。ここからあそこまでを一気に5kmほどで駆け上がります。
位ヶ原山荘を出発してすぐ、長いストレートが待ち受けていますがその終わりが乗鞍の定番の撮影スポット。(赤丸のところ)
先ほど地獄を見た九十九折りの道を上から見ると、広告やTwitterなどでもよく見るあの場所だと気づきます。
山肌全体が色づいていてとても美しいです。
ていうかあんな九十九折り登ってきたとかそりゃツラいはずだわ、と一人で納得。
みゅーおんさんにわざわざ撮って頂いた一枚。
背景のスケールが大きすぎて、本当に日本っぽくないですね。ちなみに、ここからはさらに日本っぽくない景色が連続していきます。
このあたりからそろそろ森林限界。
先ほどまでは「まだ〇kmもあるんだけど!!!(ぶちギレ)」だったのが、この絶景区間に入ると「もう〇kmしかないんだけど!!!(超ぶちギレ)」に変わってきます。
見渡す限り絶景なので、撮っては5m進み、撮っては5m進みを繰り返してノロノロと前進していきます。
本当に進まなすぎたので後でずっと録画していた動画を確認したら、残りの3~4kmを一時間以上かけて進んでいました(笑)
ツールに出てきそうな良いワインディングがあったので、二人して「ツール山岳ステージごっこ」で遊びます。
もちろんこういう写真でも遊びます。
眼下には森林限界あたりのエコーラインが広がります。
手前は黄色、奥に見える山々は青色なので、より紅葉が際立って見えるのかもしれません。
みゅーおんさんも先ほどからずっとシャッターを切りまくっています。
畳平直前にはこんなところも。
断崖絶壁のさらに上に道路がはみ出しています。
この写真の右側、下の方に広がっているのが先ほど出発した乗鞍観光センターです。
ついに畳平に到着!
何度もタイムラインで見た事のある看板の前で記念撮影。ただ、畳平は完全に開けているので、吹き付ける風がもはや台風クラスwwww
畳平にある鶴ヶ池は本当に真っ青で綺麗としか言えません。
てかここ絶対日本じゃないって……(困惑)
次は一度スカイライン(岐阜県側)に下りていきますが、少し長くなるので一度このあたりで切らせていただくことに…。後編はスカイラインと剣ヶ峰登山になります。
(後編に続く)